2025年7月号「星・月・ISS・写真クラブ」

中川達夫さんから依頼を受け、同じ所属の富山県天文学会の深島と申します。
中学生の頃から星が好きで、親に6㎝の望遠鏡を買ってもらい天体を観察していました、天文ガイドを読みながらポータブル赤道義を作ったり、12.5㎝の反射望遠鏡のミラーを磨いたり、フィルムカメラで月や星を写していました。高校生になった時に天文部に入ろうと思いましたが無くて写真部に入部、月の写真や風景なども含め一般的なものを写していました。写真部の活動としては市展、県展、青少年美術展などに応募しましたが、県展はレベルが高く、先輩が1回入選しただけでした。その後、天文と写真は楽しむ程度に続けていました。百武彗星、ヘール・ボップ彗星の少し前から天体写真を再開しました。

<ニッコールクラブの活動と県展>

01 宇宙それぞれの想い宇宙それぞれの想い

カメラ:ニコンD7000 レンズ:24㎜f1.4 露光時間:20秒 絞り:f1.4 ISO:800
富山県美術展(県展)県展賞

ニコンのニッコールクラブ富山県支部の方と話すことがあり、ニッコールクラブに入会しました。会の活動としては毎月の例会時にA4サイズのプリントをニッコールクラブ本部に送り、その後富山支部に支部批評としてカセットテープで作品の講評が送られてきて、それを作品と共に聞くというものです。それを毎月行っていました。その後、新型コロナウイルスの関係でニッコールクラブの先生方が支部批評の為にニコンに行けないなどの問題が発生し、写真データはネットで送り、批評は動画での連絡になりました、富山支部にはネットに詳しい方が居られなく、私がその役割をすることになり現在は富山県富山支部長をしています。会員の作品のまとめ、作品の意図を書き込みニッコールクラブに送り、約3週間後に30分程度の動画での支部批評が来ます、1位~5位までの順位付け、他は佳作ということで全作品にコメントが付いてきます。作品は非公開なのでフォトコンに出すことができますし、先生方は6人程度居られフォトコンの審査員の方も多いので、公平な視点で見ていただけるのが良い点だと思います、ただ私の天体写真は特殊な分野だけに評価は様々ですが自分なりに参考にしています、毎月の会員の作品の取りまとめ、動画の内容を数ページの会報誌を作成するなど分担して活動しています。尚、この毎月の支部批評は有難いことに無料です。又、ニッコール富山支部員の中には富山県美術展(県展)や二科の審査員クラスの方も数名居られ、例会時にアドバイスをいただくこともあります。そうこうしているうちに県展など一般写真のコンテストに天体写真が、どの程度通用するか応募することにしてみました、高校生の頃は県展の入選は難しかった(現在の県展の写真部門の入選率は約3割)のですが、県展に出してみることにしました。
最初に応募したのがこの「宇宙それぞれの想い」で、なんと県展賞をいただきました、賞を決めるのは県外審査員で、この時は二科会写真部の蜂須賀秀紀先生でした。この写真は富山県立山の立山高原ホテルに行ったときに、たまたま富山大学の天文同好会の合宿があり、その時に大学生にモデルになっていただいた写真になります。天の川の中に人が写っていることにより、より星景の写真に「感情移入」ができる写真になっているのではと思っています。県展に複数回入選すると県写真連盟の会員になれるので入会しましたが、県写真連盟の定期的な展覧会が平日に作品の搬入搬出だったこともあり、現在は退会しました。

<星景写真の展示時の説明について>

02 夏の大三角夏の大三角

カメラ:ニコンD810A レンズ:24㎜f1.4 露光時間:15秒 絞り:f1.4 ISO:2500

富山県の滑川市で個展を開いたことがあるのですが、ごく一般の方が星景写真を見て楽しめるにはどうしたらいいかと考えました。一般の方は富士山であれば、どなたでもわかると思いますが、それ以外の山であれば富山で有名な山でも分からない方も多いのではないか、又星についても沢山の星が写っているな~ ぐらいしか分からないのではないかと思い、説明の絵も付けることにしました。山はカシミール3Dで山名を表示し、星はステラナビゲータで星座を表示させパワーポイントに貼り付けて説明絵としました。本当は写真と題名のみで完結すればいいのでしょうが、説明の絵を付けることによって、より楽しんでもらえるのではないかと思いました。

<月の写真>

04 スーパームーンの出スーパームーンの出

カメラ:ニコンD7000 レンズ:タカハシFS78C f8 露光時間:1/8秒 絞り:f8 ISO:800
月刊星ナビ ギャラリー掲載

月は、いつも身近にあって、手軽に写せる被写体でいつも写しています。地球照、月と天体の接近、風景の中の月などです。この写真は、スーパームーンの出です。2012年に撮影しましたが、このころから通常より少し大きく見える満月をスーパームーンと言われるようになりました。撮影の日は雲が多い日でしたが、月の出を木々といい感じに写せる場所を探しながら望遠鏡をポルタ経緯台に載せ田んぼの道路を歩いて何回も移動しながら撮影しました。

<国際宇宙ステーション(ISS)の拡大写真>

05 ISSの太陽面通過ISSの太陽面通過

カメラ:ニコンZ6Ⅱ レンズ:Kasai BLANCA150SED f8×2倍パワーメイト 合成焦点距離2400㎜ 露光時間:1/8000秒 絞り:f16 ISO:100
月刊星ナビ ギャラリー掲載

国際宇宙ステーション(ISS)の撮影も好きで拡大撮影をしています。400km上空を秒速約8kmで飛翔していますが、自分の望遠鏡でもISSの形がわかるぐらい写せることがわかり、石川県能登の満天星天文台の故室石英明さんから、ISSの通過サイトの説明をしていただいたおかげでISS Transit Predictionsを使ってISSの月面、太陽面通過を写しています。月面通過は、たまにはISSを見ながら撮影することはできますが、多いのは月面を通過した時だけシルエットで写せるものになります、太陽も同じでシルエットでしか写すことができません(ISSが近い時は約0.5秒で通過)そうすると通過する前のISSは見えないので正確な通過時間に連写をして写すことになります、時間を間違えると何も写りません。ISSの通過ラインも地図で示されますが、必ずそこを通過するかどうかは分かりません、というのは、ISSは地球からの高度が下がってきたり、デブリを避けたりした時、その他、軌道が変わるからです。通過予測が正しいかどうかは、撮影してみないと分からないのが難しいところです。私は上記のソフトとISS Transit Finderの2つのソフトを見比べながら予測しています。2つのソフトが同じライン(場所)を示すこともありますが、違うラインのこともあります、そうすると結構迷います。迷いながらも撮影場所を決め、時間を決め撮影するというスリルがあります、400km上空なので、大気の安定性も重要です、気流が悪いとISSの細部が写らないからです。何度も経験していますが写っていなかったり通過時間を間違えたり、おしゃべりをしていて通過してしまったなど、失敗も多いですが、楽しんでいます。

06 見上げる天の川見上げる天の川(自撮り写真)

カメラ:ニコンD600 レンズ:24㎜f1.4 露光時間:15秒 絞り:f1.4 ISO:4000
月刊星ナビ ギャラリー掲載

著者:深島智徳(ふかしまとものり)
富山県在住 所属(富山県天文学会)