2018年12月号「備中国分寺五重塔を撮る!」

私が住んでいる岡山県倉敷市から総社市にある備中国分寺までは車で20分程度です。自宅の庭から夕景や夜空を眺めて快晴や特殊な条件であれば、時刻を問わず、直ぐにたどり着くことができます。

濃い天の川を求めて岡山県内を走り回っていた時期もありますが、最近は「吉備路風土記の丘」のランドマークとなっている五重塔と月や星のある風景と向き合っています。

なぜ、五重塔のある風景を撮影するかと言いますと。月・星・人工天体・大気光学現象(大気光象)を撮影すると、写真を見る人に五重塔が被写体の大きさ・広さの目安になってくれるためです。

最近、タイムラプス動画用の素材を撮影しています。連続撮影することにより、見えていたのに気が付かなかった物・見えなかったけれど撮影できていた物・空の色や雲の表情の変化を記録することが出来ます。また、一瞬を捉える写真と異なり、見る人に多くの情報を伝えることが出来ます。

意図せず偶然に、中国から打ち上げたロケットのものと思われるロケット雲・遠くの光で発生したオーロラのような光柱・五重塔の屋根を移動するフクロウなども撮影しています。

このコラムでは、五重塔と月の写真をご紹介します。

 各写真は、PhotoShopCCで画像処理を行っています。レイヤー処理や部分補正を行っておりませんが、全体的に彩度は高めです。前景に関しましては、見た眼よりは敢えて明るめにしている写真もあります。

【写真1】昇る赤い月 2017年12月3日 17時18分

五重塔の西側から撮影していますが、五重塔の相輪の上で高度は5~7度程度です。月は高度を上げるごとに、光度が増してきます。赤い月が撮影できるのは、相輪よりも低い位置になります。

【写真2】備中国分寺五重塔に昇る月 2017年9月18日 3時56分

低空に雲があり、月を見ることができないかと思われた時に五重塔の横から昇ってきました。雲に月の光が当たって良い感じになりました。月の舟が相輪上の仏舎利を支えていることをイメージしています。五重塔の左側には金星がいて、金星の周囲の雲も明るくなっています。空の色を少し青めにしています。

この写真は、”Visit Japan Photo Contest 2018”(日本政府観光局x東京カメラ部)で、2nd Prize(入選)をいただき、スポンサーのANAさんやベトナムなどで使っていただきました。

https://visitjapan.tokyocameraclub.com/contest2018/winners.php

【写真3】ビーナスベルトの中を昇る月 2018年11月22日 16時59分

ビーナスベルトの中を昇る月と五重塔をイメージして、撮影に出かけました。最初に陣取った場所から誤差3mぐらいでした。この時間帯は、撮影が比較的容易です。五重塔の下の小道をお散歩の人が行き来します。写真の下側には、わんちゃんと自転車に乗った方がいますので、五重塔の大きさ・高さが分かります。5枚ブラケット撮影した画像をHDR処理しています。

★紙芝居「「ビーナスベルトの中を昇る月」備中国分寺五重塔」(1080pHD)

【写真4】沈む細い月 2016年8月5日 20時8分

相輪の中の宝輪を包む細い月です。宝輪は9つの輪で、五大如来と四大菩薩を表していますので、私達は如来様と菩薩様に上から見守られています。

沈んでゆく月は、軌道が予測できますので、撮影が容易ですが、沈むのも早いので迅速に適正露出でシャッターチャンスを逃さないように、カメラ機能を活かして撮影する必要があります。

【写真5】後光射す 2018年1月3日 18時49分

月とライトアップされた五重塔の撮影に出かけました。光る五重塔の後ろが、昇る前の月の光で輝いていて、「後光」のように見えました。月の赤い光で空が染まる感動的な絶景でした。

★タイムラプス動画「【備中国分寺を撮る!】2017年12月5日」(1080pHD)

【写真6】月の出と月光柱 2018年1月3日 18時50分

写真5の撮影から1分経過すると、林の中からお月様の姿が見え始めました。お月様の上に、月光柱が見えています。5枚ブラケット撮影した画像をHDR処理しています。

【写真7】 菜の花畑に月光環? 2018年3月22日 21時36分

今年は、12月から咲き始めた菜の花が3月になっても頑張って咲いてくれていました。若干の薄雲がありましたが、カメラのモニター画面に月光環が写っているのでビックリ!原因はモバイルバッテリーのスイッチを入れ忘れていて、夜露防止ヒーターが動いていませんでした。微量の夜露がレンズに付いたために月光環風になりました。

以上、お気に入りの写真をご紹介しました。近い場所なので、24時間戦えるスポットです。朝・昼・夜に出没して、良い写真を撮影し、ライフワークにしたいと考えています。

著者: 船橋 弘範 (ふなはし ひろのり)
岡山県倉敷市在住 日本星景写真協会 準会員
岡山アストロクラブ会員、写団ふくろう会員、八塔寺星を観る会会員
岡山県観光連盟おか旅ライター: https://www.okayama-kanko.jp/okatabi?writer=18
GANREFポートフォリオ: http://ganref.jp/m/milkywayf/portfolios
GANREF撮影記など : http://ganref.jp/m/milkywayf/reviews_and_diaries