2024年10月号「月明かりでの星景写真」

星景写真を撮影するときに、皆さんは月明かりの無い夜に撮影していますか?
それとも月明かりのある夜に撮影していますか?

天の川を撮影するのには月明かりは邪魔になってしまいます。私は、月明かりの無い夜にももちろん撮影しますが、月明かりのある夜を狙って撮影することが多いです。月明かりがあると景色がシルエットにならずに夜の風景が色鮮やかに写ってくれるからです。最近は、現像処理ソフトの進化や皆さんの画像処理技術の向上により、暗夜での撮影でも濃い天の川と一緒にに夜の景色がはっきりと写っている星景写真を多く見ることが出来るようになってきました。ただ、やはり月明かりで撮影する夜の風景は色合いに違いが出てきます。
今回のコラムでは、月明かりによる作例を中心に月明かりで撮影する魅力についてお話ししたいと思います。

月明かりの有無による写りの違い

同じ場所から撮影した月が昇る前に撮影した写真と月が昇って月明かりに景色が照らされた
2枚の写真を紹介します。

1枚目は月明かりの無い時間に撮影した写真です。街灯りなどの影響があるため真っ暗になることはないですが、紅葉の色合いは鮮やかには浮かびあがってはくれません。
2枚目は月明かりの有る時間帯に同じ場所で撮影した写真です。月明かりのおかげで紅葉の鮮やかな景色が浮かび上がってくれています。

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月明かりの魅力 ~花のある景色~

月明かりによる星景写真の魅力は、一言で言って夜なのに景色が色鮮やかに写ってくれることです。暗夜の様に天の川が濃く写ってくれることはありませんが、天の川にこだわらず景色を優先した写真を撮りたいのであれば、月明かりは大きな味方になってくれます。特に花が一面咲いているような場所で撮影する場合、夜でも花の色が鮮やかに写ってくれるます。

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月明かりの魅力 ~水のある景色~

昼間に水の色をきれいに出すのは晴れていれば簡単に写すことが出来ます。ただし、夜となると話は大分違ってきます。夜に水の色を出すのはかなり難しいのです。

そこで月明かりの出番となります。明るい月が味方してくれます。月明かりが明るすぎて星の数は減ってしまい空は少し寂しくなってしまいますが、明るい星座と共に撮影すると案外絵になる写真を撮影することが出来るようになります。

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月明かりの魅力 ~ 満月下での撮影~

月明かりでの撮影が好きなので、実は満月でも撮影することが多いです。満月の時は、さすがに撮影する人はものすごく少なくなるので、有名な撮影地でもほとんど人に会わなくなります。下の写真は、最近特に夜の撮影者で混雑する某有名撮影地ですが、のんびりと撮影することができました。月が昇り始めたタイミングで薄暮の空の色と絡めて撮影した作品です。

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満月下の蕎麦畑で撮影していたら、月の白虹に遭遇したこともありました。満月の時でしか出会えなかった光景です。

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撮影していたら牛が近づいてきて、慌てて撮影した写真です。この写真も満月近い明るい月明かりでなかったら撮影出来なかった写真です。感度を最大限挙げて、極力短いシャッタースピードで撮影しました。

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月明かりに利用した星景写真の魅力を作例を交えて少し紹介させていただきました。暗夜の天の川がしっかりと写った写真も大変魅力的ですが、月明かりを利用した写真も私にとっては大変魅力的です。美しい景色を月明かりを味方につけて撮影してみるもの良いものです。チャレンジされてみてはいかがでしょうか?

著書:安田幸弘(やすだ ゆきひろ)
埼玉県在住 日本星景写真協会 副会長
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