2016年9月号「今宵は何処へ」

皆さんは撮影地をどのように検討、決定されていますでしょうか?
当然ながら光害が少ない星空を望める環境であったり、富士山のようにそれだけでも画になるような前景、またはアクセスのしやすさなど、それぞれに重要な判断基準がおありのことと思います。

私の場合、元来天文を趣味としていたのではなく、風景撮影の延長線上でスタートした星景撮影のため、常に前景に対してはこだわりを持ち続けたいと思っています。
当初はネット上などで既出の星景作品データをもとに、少々遠くてもやみくもに出かけて行き、それらをまねて撮影していましたが、当然ながらそれでは満足できなくなりました。
現在の自分の中での基準は、まず自宅から車でおよそ3時間以内(必然的に関西圏内が多い)、そして機材を担いでの徒歩移動はできれば30分以内。
その中で、季節ごとの撮影対象となる星座や天の川の見える方角が開けており、更に光害の少ない宙が望めるところ。
ただそれらすべてを高次元で兼ね備えているところとなるとなかなかに難しく、特に光害に関しては、近頃では自分の中での基準を少し緩和し、少々宙への影響があってもそこにある条件をあるがままに表現する方向にシフトしています。

例えばこちらの円月島のように有名な観光地であれば、現地の情報も豊富で、あまり苦労もありません。
ただし逆に言えば、誰もが簡単に撮影できてしまう被写体であり、ネット上でも同じような画が氾濫してしまいます。

そこで独自の撮影地を探すために具体的に参考としているのがGoogleMapです。
マップのみだと、中々現地のロケーションまで想定するのは難しいですが、GoogleMapでは衛星写真(GoogleEarth)への切り替えがあり、更にかなり高倍率の拡大ができます。
これならロケーションの想像が付きやすい‼ しかも、マップとの組み合わせによって、視野の開けている方角なども確認ができます。
例えばこんな感じです。

この日はペルセウス座流星群の極大日ということで、東側に開けたロケーションを選択しました。
この時間すでに月はなく、前景がシルエットになり少しわかりにくいですが、ここで撮影したものがこちらです。

集落や幹線道路沿いの灯りの強さまではさすがに現地でないとわからないものですが、ここでは前景の立体感を出すのにうまく寄与してくれました。

そして更に便利なものがGoogle ストリートビューです。
これなら現地の前景の参考にすらなりえます。
こんな感じです。
特にこの柱状節理の造形が気になりました。

そしてそれを参考に撮影したものがこちらです。

右の柱状節理の岬に背後から月明かりが入り浮かび上がるさまを、春の大曲線と一緒に収めました。

このように、「こんな前景で星空を見てみたい!」所を見つけてはロケハン、撮影を繰り返していきます。
もちろん実際行ってみるとあまり良い星空を望めないこともありますが、それはそれ。
どこへ行っても取ってつけたような素晴らしい星空(天の川)でなくてよいのです。
その場で見上げた、“あるがままの星のある風景”を写し止めていきたいと思っています。

簡単に私の撮影地選びにおける一例を紹介させていただきましたが、いかがでしょうか。
少しは参考になりましたでしょうか?

著者:鳥羽 聖朋 (とば きよとも)
兵庫県在住  日本星景写真協会 準会員
BLOG:http://ameblo.jp/7stars-kt/
星空とともに季節を感じたい…