星空を撮影する方が憧れる撮影対象があります。それはオーロラです。私もずっと憧れていて、2009年に初めて憧れのオーロラ撮影に行きました。それからオーロラにはまってしまい、10年間で6回のオーロラ遠征を経験しています。これからオーロラ撮影を考えている方に少しだけ経験をお話ししたいと思います。
オーロラはどこで見られるか
オーロラを見るには、極地近くのオーロラオーバルというオーロラの発生する地域に行く必要があります。有名なのは、カナダのイエローナイフやアラスカのフェアバンクス、北米のフィンランドやノルウェーなどです。オーロラの出現が激しいときは、ニュージーランドなどで低緯度オーロラが見られるときもあります。極まれに日本でも低緯度オーロラが観測されるときもありますが、肉眼で見ることはできません。江戸時代に江戸の町からオーロラが観測されたとの研究結果が最近発表されました。
いつ見られるか
オーロラは、寒い冬の時期にしか見られないと思われている方が多いと思います。オーロラは1年中発生しています。極地では、夏は白夜で夜がないため見ることが出来ませんが、8月中頃から4月下旬頃まで星夜のある季節にオーロラを見ることが出来ます。その場所により晴れやすい時期がありますので、晴れやすい時期に計画するようにします。
オーロラを見に行こう
実際にオーロラの撮影に行くには、いくつか方法があると思います。一番手軽なのは、冬になると各旅行会社が企画されているオーロラツアーでしょうか?このようなツアーには参加したことがありませんが、一般に見るだけの方の参加が多く撮影向きではないかもしれません。また、この様なツアーは街に宿泊して毎晩バスで郊外のオーロラ観測施設に移動しますので、時間に制限があることが多いです。
オーロラを撮影しよう
オーロラを落ち着いて撮影するには、街から離れた郊外のロッジ等に宿泊して撮影するのも良いと思います。このような場合、ロッジに宿泊しますので、自分の好きな時間に外に出て撮影できますし、寒くなれば宿に入って暖を取ることもできます。最近は、天文ガイドが毎年冬のアラスカで撮影ツアーを企画されていますが、2016年に1度参加したことがあります。この時は、郊外のロッジに宿泊して毎晩オーロラが出るのを待って撮影しました。
また、ツアー参加とせずに自分で宿や航空券を手配し、ロッジの送迎サービス等を利用してオーロラ撮影をする方法もあります。オーロラ初体験のこの時は、旅行会社を通して航空券・ロッジの宿泊・送迎を手配しました。初めてのオーロラ撮影で、ロッジの前で落ち着いて撮影することができました。
オーロラの旅に慣れてくれば、街に宿泊しレンタカーを借りて毎晩撮影に出掛けて撮影する方法もあります。左ハンドルの慣れない車ですが、交通量が少ないので安心して運転できました。お気に入りの場所を探して撮影する日本と同じスタイルで撮影しました。
秋のオーロラ
オーロラといえば冬のイメージが強いですが、冒頭にも書いたように8月頃から撮影することができます。この時期では、氷に覆われた世界ではなく湖も凍りませんから、湖面に映るオーロラも撮影することが出来ます。湖面に映り込んだオーロラもとってもきれいで興奮しました。
極地では緯度が高いため、薄明の時間が日本に比べて長くなります。例えば、8月下旬のイエローナイフでは5時頃に日の出ですが、2時を過ぎた頃から空が少しずつ明るくなり始めてゆっくりと時間をかけて夜が明けます。薄明時間が長いので薄明時間のきれいな空の色とオーロラを慌てずに撮影することが出来ます。
もちろん冬のオーロラも
極寒の極地の冬もなかなか体験できない経験だと思います。今回は3月の遠征だったため氷点下29℃までしか下がりませんでしたが、真冬の極地では-42℃まで体験したことがあります。雪景色の中のオーロラもとってもきれいな光景でした。
オーロラを撮影しに出掛けるにはいろいろとハードルガ高いと思いますが、夜空を動き回るあの光の光景は見る人を魅了します。一度見て満足される方もいますが、一度体験してしまうと止み付きになってしまう方も大勢います。皆さんはどちらでしょうか?私は、その魅力に取りつかれてしまった一人です。会員の中にもオーロラを体験されている方が何人もいらっしゃいます。皆さんも一度あの光景を体験されてみてはいかがでしょうか?
著書:安田幸弘(やすだ ゆきひろ)
埼玉県在住 日本星景写真協会理事