春真っ盛りなのに中秋の名月のお話。
季節外れで申し訳ありませんが、私にとって思い出深い月夜の話、そしてその時の写真が
自身にもたらした今年の出来事についてお話させてください。
ときは2022年9月10日の正午、師事している山岳写真家菊池哲男先生と、磐梯山に登頂すべく山の北側にある裏磐梯登山口を出発しました。
空がとても青く高く、気持ち良い山歩きになる予感。
途中の銅沼で、帰りの撮影ポジションを確認したり、険しい山肌に畏敬の念を感じたり、
シーズンが終わってしまったお花畑にがっかりしたり、山頂直下の岡部小屋では小屋の方と菊池先生の思い出話を聞かせて頂いたり・・・なかなか山頂に到着しませんが、楽しい道中でした。
そしていよいよ山頂へ!
すでに辺りは夕焼け色に染まり、気持ちが昂るような美しい光景が全方向に広がっていました。私たちのほかに青年がひとり、夕日を眺めていました。
沈みゆく夕日を眺めていましたが、ふと振り返ると背後には影磐梯山が、さらに半薄明光線のご褒美。
ドラマチックなシーンに夢中になっていると・・・
雲海の上に、この日のお目当ての中秋の名月が静かに現れました。
山頂の祠、月に染まる雲海、少しずつ広がる郡山の街明り、そして中秋の名月の美しさ。
余談ですが、この写真は『夜空を思いっきり楽しむ図鑑』(ナツメ社)に掲載されました。
この時の月の出の動画あります。https://youtu.be/xLljwaPNfI4
さらに月光による影磐梯山も!
キリがないくらい、素晴らしい光景の数々に、いつまでも山頂に留まりたい気持ちでしたが、登山道途中でも撮影したかったので、泣く泣く下山を開始しました。
登り途中で心に留めていた銅沼のほとりにて。湖面に写りこむ中秋の名月にも感動。
山頂や銅沼でのドラマチックな様々なシーンに感動と興奮のまま下山したのは深夜0時。
12時間の素晴らしい山行を終え、菊池先生に感謝しつつここで解散。
この後、この時期に毎年撮影しているそば畑へ向かいました。
猿楽台のそば畑に到着したのは2時半。
当然のことながら疲労困憊、睡魔と闘いながら機材を設営し、そば畑越しのオリオンを撮影しました。
満月なので優しい印象のオリオンに・・・
オリオンとそば畑を撮影できたあたりで、霧が出てきて、辺りは真っ白になり、星が見えなくなったので撤収しようとするのですが、眠くて動けず、しばしぼんやりとしていました。
ふと気付けば白虹が! 三脚ごと倒れそうなくらいの睡魔も吹き飛び、またまた夢中で撮影しました。
磐梯山山頂で出迎えた中秋の名月が、西の空からさらなる素敵な贈り物をしてくれたのでした。
そんな2022年の思い出深い1枚を、今年、思い入れのあるフォトコンテストに応募したわけですが・・
なんと、嬉しいことに『第7回ふくしま星月の風景フォトコンテスト』で大賞を頂くことができました。
3年に一度の応募なので、貴重なコンテストであることと、入賞すると作品集に載せて頂けるフォトコンテスト。いつかは入賞したいと願い続けていたので万感の思いでした。
2024年3月16日に郡山市ふれあい科学館で行われた授賞式では、天文界で著名な渡部潤一先生から賞状を頂き、お優しいお言葉も頂きまして、胸がいっぱいの喜びにあふれたひとときを過ごしました。
あの中秋の名月の思い出を振り返りながら、こうしてコラムを書いていると、あの時の体力的に辛いけれど満たされた気持ちを思い出します。
これからも自分が感動し、心より残したいシーンに丁寧に向き合っていきたいと思います。
【第7回ふくしま星・月の風景 フォトコンテスト結果】
https://space-park.jp/cyber/photo/archives/202402/291300.html
【表彰式の様子】
https://space-park.jp/cyber/photo/archives/202403/191800.html
著者:今井 多佳子(いまい たかこ)
埼玉県在住 日本星景写真協会 正会員
TK(山岳写真家菊池哲男)フォトクラブ会員
撮影スタイルは登山&車中泊遠征
近年はアラスカ、カナダでオーロラ撮影に夢中
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