2023年2月号「能登の星空」

皆さん初めまして!金沢市在住の立岩(タテイワ)と申します。石原大稔(だいとしぃ)さんからコラムのバトンを受け取ったのですが、あまりにも突然で予想外だった事と、参考に当協会の以前のコラムを覗き見したところ著名人ばかりで凄いコラムだったので、思わずバトンを落としそうになりました。でもバトンを受け取った以上は何とか頑張ります!

さて私が住む北陸では「弁当忘れても傘忘れるな」という格言があるほど太平洋側に比べ満天の星空に出会える機会は少ないです。そこに月齢や、まだしがない会社員であるため撮影は休日の前日などの条件を当てはめると綺麗な星空に出会える確率は限りなく低くなります。そこで滅多にないチャンスに出会えると皆さん同様、或いはそれ以上血管内に大量のアドレナリンが放出され「星景トライアスロン」状態になります。そんなある晩の出来事を時系列で綴ってみます。

2021年2月13日自宅から160km先の能登半島珠洲市三崎町18:51撮影開始

19:16奥能登冬の晴れ間 小さな灯台とオリオン座付近。この日は友人と待ち合わせ能登半島の突端海抜0mでのカノープス撮影に挑戦でした。友人と合流までの撮影タイムです。空が暗いので灯台の光があっても満天の星空。(珠洲市三崎町)

20:17冬のダイヤモンド 能登半島での撮影の特徴は1番目に空が暗い事、2番目は同業者が少なく空を独り占め出来てゆっくりノンビリ星を眺められること。(珠洲市三崎町)

21:11カノープス探し 能登半島突端海抜0mでのカノープス撮影は低空の雲に阻まれ失敗でした。(珠洲市三崎町)

22:05宇宙への入り口 2020年に珠洲市で開催された奥能登国際芸術祭作品がそのまま残されていて、さながら宇宙へと続くトンネルのようです。(珠洲市蛸島町)

22:29廃列車と冬銀河 廃線となった旧のと鉄道の終着駅付近に廃列車1両が放置されています。夏場は雑草が生い茂り「兵どもが夢のあと」のようにもの悲しい。(珠洲市蛸島町)

2021年2月14日0:40キリコ橋と日周運動 友人に案内され初めての撮影ポイント。日付も代りそろそろ疲れも出て来たので2957秒の放置撮影。満天の星を眺めながら友人と取り留めのない話をするのも素敵な時間です。(能登町九里川尻)

1:14恋路海岸弁天島 昇ってくる夏の天の川をこの弁天島の鳥居前で迎えるか、この先の見附島で迎えるか友人と相談。漁港の灯りが強いので最後のメインイベントは見附島での撮影で決定(能登町恋路町)

5:27見附島と天の川 見附島は能登半島で1番の星景撮影ポイント。この時期から5月後半にかけて見附島と横たわる天の川構図狙いで県内外から沢山のカメラマンが集まる。到着時は天の川が昇るまで随分と時間があったので駐車場には車の中で待機している同業者が数台。私と友人は場所取り争奪戦に参加するつもりはなかったが、星空を眺めていたかったので早々と撮影現場でスタンバイ!(珠洲市宝立町)

この日は撮影開始から撮影終了まで6ヶ所の撮影ポイントで約11時間でした。体力的に衰えを感じるこの年齢でこれだけ撮影すると身体的にはボロボロです。でも気分はやたらハイテンションでまさにトライアスロンを完走した気分です。正直本物のトライアスロンは挑戦したことがないですが。

北陸での星空撮影は天気との戦いですが、このように稀に好条件に巡り合えると喜びもひとしおです。これから先何回好条件に巡り合えるか?2035年9月2日の能登半島皆既日食まで元気でいれるか?分かりませんが、時間が許す限り星空をボンヤリ眺めていたいものです。

著者:立岩広人(タテイワ ヒロト)
石川県金沢市在住
所属:金沢星の会