2021年6月号「写真展をやってみよう!」

皆さんこんにちは。
間もなく日本星景写真協会第四回巡回展<星の風景>北海道展が開催されます。
今回は不肖ながら私が担当させて頂きました。
全紙クリスタルプリント60点の展示となり、とても見応えがありますので特に北海道の方はお楽しみに。
また会場に近い地域で撮影した<空知・上川の星景写真展>を同時開催致します。今回新たに公募した6名9点の展示を企画しておりますので、こちらもぜひご覧下さい。
皆様のご来場を心からお待ちしております。

さて普段から写真撮影をされる皆さんは、最近は写真のプリントをされているでしょうか。
デジタルカメラやスマートフォンの普及により、私を含めほとんどの方は画面で見るので終わってしまっているのではないでしょうか。
アナログが主流の時代は、ネガの場合は反転した画像でしたからプリントする必要がありました。しかし今はその必要性が薄れ、モニターの画面で満足してしまうのは無理からぬことです。
ただ私は、あくまで写真の最終出力形態はプリントであると思っています。
特に大きく引き伸ばされた写真にはそこからでしか得られない感覚が有り、普段から暇があると色々な写真展に足を運んでいます。

他の方の展示を拝見するのももちろん楽しいですが、時には自分で開催してみるのもとても勉強になることが多いです。
私はFacebookで星景写真@北海道というグループを運営していますが、2019年から一年弱に渡り北海道各地で星景写真@北海道合同写真展を展開していました。
以前からグループで写真展をやってみたいと思っていたのですが、どうせ出展者も集まらないだろうと二の足を踏んでいました。
ところがメンバーの皆さんに呼び掛けたところ名乗り出た方が10名を超え、最終的には20名となり実現した次第です。少し振り返ってみます。

partⅠ カメラの川田 2019年4月4日~23日

数ヶ月の準備期間を経て、普段からお世話になっていたカメラの川田(札幌市/現在は閉店)にて開催することができました。
特に4月20日の合同説明会には会場に入りきらないほどのお客様がご来場され、川田弘会長(故人)もとても驚いておられました(会長はその後5月に急逝されますが、この盛況ぶりを最後にご覧に入れることができて本当に良かったなと思います)。
当初はこれ一回で終了の予定でした。
しかしこの展示をご覧になった方々から次々に開催のオファーを頂きました。

partⅡ 芦別温泉スターライトホテル 2019年6月2日~28日

こちらでの思い出は、会期中に主に初心者の方を対象に星景写真講習会を実施したことです。まず事前に2時間たっぷり座学でデジタルカメラのマニュアルモードやピント合わせの方法、撮影時のマナーまで学習して頂き、その後曇天にも関わらずホテル前にて撮影会を強行。しかし1時間もすると奇跡的な天候回復!
勉強されたおかげで、皆さん次々と星撮影に成功されたのはとても良かったです。
翌朝は講評会でそれぞれの成果を発表し、自分でも星の撮影ができるんだととても盛り上がりました。

partⅢ 札幌市青少年科学館 2019年9月6日~23日

こちらは北海道胆振東部地震(2018年9月6日)の際に、停電で北海道全域がブラックアウトした時の星空を展示した<9.6の星空>との共催でした。
私もその日は真っ暗な中で一晩を過ごし、197万都市札幌でも天の川を肉眼で確認できました。
あの時の記憶を風化させぬよう地震からちょうど一年のタイミングでその時の星空の写真を有志で展示したのですが、共催することにより非常時と通常時の星空の対比を見て頂くことが狙いでした。
改めてこの地震により犠牲になられた方には、心からお悔やみ申し上げます。

partⅣ 陸別銀河の森天文台 2019年10月4日~27日

日本一寒い町として知られ、115cm反射望遠鏡がある陸別町銀河の森天文台での開催です。
残念ながら遠方のため私は行くことができず、写真一式を送付し天文台の方に設営していただきました。
こちらでは天文現象に合わせてさまざまなイベントを開催しています。お近くの方はぜひ訪れてみて下さい。
https://www.rikubetsu.jp/tenmon/

partⅤ 美瑛町ビ・エール 2020年1月15日~26日

最終回は美瑛町での開催です。美瑛町は美しい丘の景色に惹かれ写真好きの方が多く集まる町で、会場にも毎日たくさんのお客様に来て頂きました。
新メンバーを加えながら展示枚数も当初の20枚から美瑛展では54枚となり、巡回しながら成長していった写真展でした。
ビ・エールのようなとても素晴らしい会場で写真展を開催できたことは、とても光栄に思います。
今回のご縁が契機となり、本年の日本星景写真協会巡回展の会場に選定させて頂いた次第です。

今回の写真展ではメンバーの負担を軽減するため、できるだけローコストでの運営を目標としました。
写真展ではプリント以外にもキャプション、アンケート、フライヤー、ポストカード等色々な物を制作する必要がありますが、総費用は3万円代に抑えることができました(プリントは各自負担)。全て無料の会場で開催できたことが大きかったと思います。
それにしても一回の展示で終わるはずが、五回もの巡回展になった事は振り返ってみても大変な驚きです。
素晴らしい写真を提供して下さった参加者の皆さん、プリントをしていただいた川田さん、会場を無料で貸していただいた関係者の方、何よりご高覧頂いた皆さんには感謝してもしきれません。多くの方のご協力無しでは実現することは不可能でした。
私にとってこの写真展はとても得がたい経験になりました。ひとつの思いつきが色々な縁を呼び、こうした結果に繋がったことは望外の喜びです。
またいつの日にか、皆さんにプリントした写真を見て頂く機会があればなと思っております。

著者:西澤 政芳(にしざわ まさよし)
日本星景写真協会 会員
北海道札幌市在住
GANREF:https://ganref.jp/m/pasha_m/portfolios
星景写真@北海道:https://www.facebook.com/groups/834750296629025