2023年5月号「アラスカ」オーロラ紀行    ☆星景女子3人に同行したバスクリン夜話☆彡

★1★ はじめに

星を見ることが好きな札幌市在住の平井諭と申します。オーロラを見たいという長年の夢を叶えるため、2023年3月下旬に4人でアラスカまで遠征しました。オーロラを見るのが目的なのは私だけ。星景女子3人はオーロラ撮影の経験者で男子の私は初心者です。

★2★ 日本→シアトル→フェアバンクス

2023年3月23日(木)、横山明日香さんと新千歳空港からJAL便で羽田空港へ。羽田で今井多佳子さんと合流。3人でデルタ航空のシアトル便に搭乗。

ベーリング海の上空で、「低緯度オーロラが見えてます」と横山さんが教えてくれました。

北緯51度の機内から私がスマホを手持ちで撮影したオーロラです。カシオペヤ座が北中しています。画像が拙いのはJPEG撮影で画像補整もしていないからです。お許しください。2023年3月23日13時51分(UT)、露出10秒、絞りF2、感度ISO3200、焦点距離4.6mm(35mm判換算で25mm相当)  飛行機の窓から色彩豊かな低緯度オーロラが写せたことに驚きました。肉眼では色彩がよくわかりません。特に赤色はわかりにくい。

シアトル・タコマ国際空港のラウンジで池田晶子さんも合流。星景女子3人と星好き男子1人の珍道中の始まりです。別便で3度ほど南側を飛行していた池田さんは低緯度オーロラを確認できなかったそうです。なお、池田さんのおすすめで本稿を書いています。

ラウンジで休憩後、フェアバンクスに向かう航空機へ乗り継ぎました。

離陸後、10分ほどで今井さんからオーロラが見えることを教えられ、ミラーレスカメラで撮影。オーロラの下はシアトルの街明かりです。3月24日5時16分(UT)、露出1/2秒、絞りF1.4、感度ISO8000、焦点距離12mm(35mm判換算で24mm相当)

このとき、地磁気の強さを表すKpインデックス値が数年ぶりの強い値となっていたことを後から知らされました。

アラスカ州フェアバンクス空港に到着したのは、現地時刻で3月24日深夜0時過ぎでした。(日本とフェアバンクスの時差は日本の方が17時間進んでいます。3月12日から米国ではサマータイムが導入されています)

★3★ レンタカーで貸コテージへ

空港近くのホテルで1泊後の3月24日の昼過ぎ、予約済みの大型SUVをレンタル。大型スーパーで食材などを購入し、フェアバンクス郊外の貸コテージに到着。この貸コテージ、個室4部屋と広いリビングルームがあります。女子3人の好意で一番広い部屋を私の部屋として使わせていただきました。運転手として睡眠をきちんと取ってほしいとの温かな配慮です。

★4★ 初めての本格的オーロラ

貸コテージに到着したその日の夜、私にとって見事なオーロラを玄関先で見ることができました。カーテンが揺らめくようにユラユラ動くオーロラに、私の目は釘付けに。よくよく見ると赤っぽいオーロラだということが肉眼で確認できます。どうやら今夜はオーロラ姫がローズピンクのバスクリンをいつもより多目に入れてくれたようです。

持参したミラーレスカメラで自動インターバル撮影を開始。カメラが自動撮影している間、自分の目をキョロキョロさせ全天に広がるオーロラを楽しみました。

私が撮影した本格的?オーロラです。

池田さんによると「星景的に言わせると、地上風景が少ない」そうです。天体写真を撮影していた私の意識「できるだけ地上風景を入れない」という感性の違いが出たようです。

3月26日8時41分(UT)、露出8秒、絞りF2.8、感度ISO3200、焦点距離7.5mm対角魚眼レンズ(35mm判換算で15mm相当)、画像補整なしの撮って出しJPEG画像。

★5★ 星景女子3人の熱量全開

今回のオーロラ遠征で池田さんは5回目、今井さんは4回目、横山さんは6回目のオーロラ遠征だそうです。3人が相談しながらロケーションを決め私が運転します。私が疲れたら横山さんが運転。

撮影地に到着するや否や、星景女子3人は三脚を素早く何本も組み立て、蜘蛛の子が散るように場所取りをします。星景女子のバイタリティに脱帽です。私はというと、引率の先生のように専らスナップ写真撮影。

目が肥えた星景女子3人にとって、今回のオーロラはせいぜい2/10だそうです。私には十分満足できたオーロラなのですが、もっと凄いオーロラが毎日でも出ると期待していた女子3人には残念だったようで、私からは「満足した」とは言わないようにしました。なお、凄い撮影機材を持ち込んだ女子3人からオーロラ画像をコラム用に提供してもらいました。

池田さん提供の画像です。フェアバンクス滞在中は天候が悪く、雲間に見えるオーロラはまるでバスクリンの泡風呂のようでした。もっと素晴らしい写真を池田さんは撮影されていますが、今回の遠征のイメージを表すのに最適と思ったことから私の方からリクエスト。

池田さん提供の画像です。天候に恵まれなかった分、オーロラと月暈の競演がありました。ある方が池田さんの画像を「ムーンストーンとオパールが空で融合した様な、これは宙の宝石」と評していました。

今井さん提供の画像で、アラスカ鉄道の踏切上に出現したオーロラです。思いがけず、貨物列車通過という偶然もあり全員で見送りました。長大な列車に驚きました。

フェアバンクスの貸コテージ前で、全天魚眼レンズを使用した横山さん提供の画像です。私にとって初めての本格的なオーロラでした。

★6★ とても快適な遠征でした

4人の共同連泊は結構疲れるかもと思っていましたが、作業を分担しながら助け合い、まるでファミリーのようにアットホームな雰囲気が楽しかった。例えば、4人が長い時間を過ごす貸コテージ内やレンタカー車内で、擬似家族パターンを妄想しワイワイ楽しみました。

その一つのパターンが、私がお父さん、池田さんは私の娘で実家に帰ってきた出戻り娘、私が熟年再婚し迎えた新妻が今井さん、今井さんの連れ子が横山さん。笑っちゃいますねー。

  我ら、ワンチーム!

4月4日(火)に帰国。13日間の旅が終わりました。天候にはあまり恵まれなかったものの、私の記憶に深く残る旅となりました。

遠征中の様子を拙ブログに連載記事を書いておきました。よろしければ第1回目からご笑覧ください。リンクを貼っておきます。

https://blog.goo.ne.jp/hirai-sapporo/e/3d7d1254c2fc00eaa29a346eb4ad10c1

自宅屋上の著者

著者:平井 諭(ひらい さとし) 札幌市在住
10歳で星が好きになり、同時に望遠鏡の自作も開始
11歳からモノクロ写真の現像焼付けを始め、20歳からカラーポジ、カラーネガの自家現像と印画紙焼付けにはまるも、30歳代に写真から眼視派へ移行
1980年に初めて皆既日食の素晴らしさと畏怖感を味わい、これまで8回海外遠征
元札幌市天文台臨時職員、元札幌市青少年科学館職員、北海道天文普及協会代表