2016年2月号「地球の自転、1回転は何時間?」

一日は何時間でしょうか?
はい、24時間ですね。あまりに簡単な質問で、失礼しました。

では、地球の自転、1回転は何時間でしょうか?
やはり24時間!?そう思われる方が多いと思います。でも、実は、ちょっとだけ違うんです。

図をご覧下さい。地球と太陽の図です。

図

今、地球の位置は、図で太陽の真下です。
1日経つと、地球が太陽の周りを公転するため、ちょっと右に移動します。

また、1日経つと、例えば今ちょうど日本が太陽の太陽に向いているとしたら、明日の同じ時刻にも太陽に向かった位置に来ますよね。

でも、ちょっとお待ち下さい。
今、「1日」といいましたが、地球が自転してちょうど1回転だと、まだ太陽にまっすぐ向かった位置に来ません。1回転とちょっと回った時に、やっと、太陽にまっすぐに向かった位置に来ます。

つまり、1回転とちょっと回って、24時間なんです。
ちょうど1回転する時間、つまり地球が自転で1回転する時間は、それより少し短くて、約23時間56分です。

我々から見て、太陽がどのくらい動くかを考えるには、普通の時間を使って大丈夫です。つまり、1回転するのに24時間、半分なら12時間です。
しかし、恒星がどう動くかを考える時には、厳密には、1回転は23時間56分だとして計算しなければなりません。半回転なら11時間58分です。

星景写真を撮るときには、どのくらいの間シャッターを開けば、星がどのくらい動くかを計算します。
例えば、15秒ならほとんど動かないので止まって写るとか、10分だとオリオン座の形がわかるとか。これよりずっと長くなると、6時間で1/4回転、12時間で1/2回転です。24時間で1回転という写真は、日本では撮れません(昼になっちゃいますから)。

この「6時間」「12時間」というのが、厳密には「5時間59分」「11時間58分」です。

「厳密には」と書きましたのは、ほんのちょっとの違いですので、実際にはこんなことは無視して「6時間」「12時間」シャッターを開いても、違いはわかりません。
もっと短ければ、誤差はさらに小さくなりますので、たいていは無視します。
しかし、6時間以上(人によっては3時間以上)シャッターを開く場合には、その細かい所に注意して「6時間ではなく5時間59分にする」「11時間58分にする」というのが、天文ファンのこだわりです。

長い間シャッターを開いて写真を撮るには、その間ずっと暗くて(つまり夜が十分に長くて)、しかもずっと晴れていなければなりませんし、カメラが動かないようがっしりした三脚を使う必要があります。風、夜露、霜柱などにも注意しなければなりません。けっこう大変ですが、星景写真に興味のある方は、ぜひとも撮影してみて下さい。

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小沼光良

http://www.hal-9000.org/

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