2018年11号「記憶の中の星空の世界」

イントロ

「ハアハアゼイゼイ、ハアハアゼイゼイ」と山道を登る事約20分、酸欠の為か軽いめまいを感じる。

この写真は私が久々に山登りをしたものですが体力の無さを感じる今日この頃です。

CANON EOS6D 16-35mm 熊本県杵島岳2018-7/12

(1)きっかけ

私が星撮りを始めるきっかけを最初に話そうと思います。

星景写真を始めるきっかけは人それぞれで、子供の頃から空を見上げて星に憧れる人から、私みたいに人生の半分以上を過ぎた人など様々です。

そんな私は星を撮りたいと思いながらもその方法もきっかけもつかめずにいました。

ある日、試しでちょっとだけ撮影してみようかな~と思ったのが最初の試みで、その時カメラのモニターにキラキラした物が数多く。(お~なんだこれ!)

その時の感動は今でも忘れられず、その時の感動が今でも続いています。

それ以来「ほんの試しに」は結構多いです。

これはその時の初撮影で記念すべき写真ですが、その頃はまだ北斗七星すら良く知らなかったのです。(恥ずかしながら)

CANON EOS50D 17-50mm 熊本県阿蘇2010-10/16

(2)新たな出会い

私が星撮りを始めた2010年頃はカメラやレンズなど撮影機材も現在の物よりかなり劣り、撮影してもノイズが一番気になりました。(勿論現在でも夏場などはノイズが気にはなります。)

そんな頃出会ったのが「比較明合成」との出会いです。

一枚撮りでマンネリ気味だった私には それがとても新鮮に映りました。

その頃の私の仕事は夜中終え、それでも家に帰る前、近くの公園でひたすら練習です。寝不足疲れなど感じないほど。兎に角これが面白いのです。

画像処理ソフトで出来上がって来るその時の興奮を、今でも覚えています。

(3)時は流れて

私の星景写真との出会いは、それから随分と長い間淡々と変化の無い時間を過ごしました。

そんな頃、ビクセンから「ポラリエ」と言う、画期的な値段でポケットサイズのポータブル赤道儀(通称ポタ赤)が出ました。

今度はそれにのめり込む様になりました。星を長い時間追いかける(追尾撮影)。

その魅力は、まるで自分が天体写真家にでもなった様な気持ちになりました。(笑)

この写真は2017年5月、九州北部豪雨災害の前に撮影した心に残る写真です

CANON EOS 5D Mark II 16-35mm 福岡県東峰村

(4)興味は尽きない

ポタ赤を使う様になると、「もっともっと」と思う気持ちが強くなりました。

一枚撮りに物足りなさを感じると同時に、星空と地上風景のコントラストの差に悩む様になりました。

そこで、それを解消しようと思ったのが星空と地上風景の別撮りです。それは、「イソ感度を別々に調整」すると言う利点があります。

それから次は、比較明合成とは違った重ね方をする加算平均などに取り組む様になりました。複数枚を重ね合わせる事で多くの利点も生まれますが、撮影には手間がかかるし、パソコンでも手間がかかります・・・が、何よりも私は元来そう言う事をするのが好きな方で、楽しんでやっています。

正直、大して技術も無いのですが「楽しんでやっている事」が一番かな~と思っています。

(5)最近になって思う事

私が星撮りを始める約8年前までは、一年中誰とも会わない、そんな時代でした。それが最近は、季節ごとに多くのカメラマン(星景写真)を見る様になりました。時にはそれがお祭りでは無いかと思うほどの時もあります。この下の写真の所もそのうちの一つですが、最近のSNSの力はほんと怖いものがあります。

CANON EOS 6D 16-35mm 熊本県産山村扇田

ここも今や多く人達に人気がある星景撮影地です。

CANON EOS 6D 16-35mm 大分県原尻の滝

(4)進歩した星空の形

最近まで私はカメラはシニアがするものだと思い込みがありました。実際定年前後に始める人を多く見かけます。しかし最近は、多くの若者が非常に多いのです。それには本当に驚かされます。

その中でも天の川が大人気の様で、いたる所でみかける様になりました。そんな中、私が今一番勉強させられているのが「若い人達からも学ぶ」と言う事です。若さゆえの行動力と頭の柔軟性は、本当に見習うべき所だと思っています。

私は昔、音楽を仕事としていましたが、偉大な先人の言葉に「若い人は年上から学ぶが、かしこい大人は若者からも学ぶ」と言う事を今改めて感じています。

CANON EOS 6D 16-35mm 佐賀県唐津市加部島

筆者 永田和俊(ながたかずとし)
佐賀県鳥栖市在住 日本星景写真協会 会友
ブログ:「遥かなる時を経て