2019年6月号「私の流儀 星空とカメラと…」

たまにふらっとどこかにでかけて、誰にも邪魔されずにのんびりとしたくなることがありませんか?

と、星景写真とあまり関係なさそうな書き出しになってしまいました。

どちらかというと不真面目な性分でして、「今日は撮るぞ!」と気合を入れて出かけることは当然あるのですが、どちらかというと、時間がとれそうだなというときに、相棒のJEEPにマットと寝袋、ビールとつまみなどなどを放り込んで、お気に入りの音楽をBGMにしばしドライブ。

現場についたら、景色を楽しみながら、夜の素晴らしい星空へ思いを馳せながらまずは一服。

今回、取り上げている写真は毛無峠という峠で撮影した写真です。

長野県と群馬県の県境にある峠で、県境に行くとアチャーとだんべの国境という看板が立っています。険道(県道)の行き止まりなので、そちら方面でも有名です。道は群馬側に続いているのですが、通年通行止めになっており、群馬側には車では降りることができません。

また写真に写っている鉄塔たちですが、これはかっての索道用の鉄塔です。群馬県側に小串鉱山という硫黄鉱山があり、産出した硫黄や資材を長野県側に運ぶためのものでした。

閉山から50年が経とうとしていますが、人の営みがかってあったことを今に伝えています。

さて、夕暮れを待ちながら、のんびりと寝床を整え、開放感あふれる中で晩酌をして、撮影の準備を整えます。

そして、晴れてくれれば、ひとつ、ふたつと見えている星の数が増えていき、素晴らしい星空を望むことができるというわけです。この毛無峠、標高約1800mあり、晴れてくれれば本当に素晴らしい星空を眺めることができます。ただ、山と山に挟まれ、雲の通り道になりやすいんですよね。

毛無峠に2泊して、2晩ともぼうずだったこともあります。

まぁ、そんな時は風の音を聞きながら、ウィスキーを飲んでのんびり過ごしていたりしますが…

ここから少し、毛無峠で撮影した写真を紹介させてください。

まずは峠の全景です。まるで日本じゃないようなこの景色が結構好きです。以前はここで車中泊する方はあまりいあらっしゃらなかったんですが、最近はだいぶ増えてきました。

相棒のJEEPと星空。この星空に逢いたくて、ここまでお出かけします。

最近は少し、タイムラプスもやっています。

鉄塔とオリオン。時代の証人の鉄塔と悠久の星空。

人の営みの儚さと変わらず輝いてきた星々…

ここ、毛無峠につながる県道は毎年11月15日に冬季閉鎖になり、翌年の5月22日まで冬季閉鎖が続きます。まるまる半年、車では近づくことができません。

今年もシーズンが始まりました。さて、支度をしておでかけしますか。

プロフィール
篠原 治樹(しのはら はるき)
愛知県在住 日本星景写真協会 準会員