2019年4月「眉間のシワが深くなる・・・ 桜の季節がやってくる」

「桜と星座」「一本桜と天の川」… 毎年魅力的な題材にワクワクしつつも、名の有る桜の木に群がるカメラマンの数たるや!! 年々増えているのではないでしょうか?
まぁ、かく言う私もその一人ではあるのですが…。

ところで、何故眉間のシワの話が出たのかと申しますと、皆さんの撮影流儀の違いから辟易とする事があまりに多いのと、また観光地の配慮なのか夜いっぱいライトアップして下さっている場所が多いからです。
写真撮影の方法については、どのように表現したいかによって個々に違いがあって当然だと思っています。地上景をライトアップではっきり撮りたい人もいれば、できるだけ自然のままにその場の雰囲気を大事に撮りたい人もいると思います。
どちらも不正解ではありません。

ただ大勢の人が集まる場所で、自分のやり方だけを遂行するのはどうなのか?と、ちょっと思いめぐらせて頂きたいのです。
私を含めおそらく多くの方々が、名の有る桜と星空の自身がイメージする1枚を自分のやり方で手に入れるべく、遠路はるばるやって来るのでしょう。妥協したくない気持ちは解ります。
でも、ライトアップ無しで撮りたい… と思っている場合は、どうやって伝えたら良いのでしょう?
その場に集まった数が4~5人なら挨拶と声掛けでなんとかなります。でも40~50人居たら? もっと居た時もありました。ライトアップの手法も様々なので、自分のやり方を試したい様でライトが途切れる隙がありません。

また、一晩中赤いぼんぼりを点けたままの場所や、木の下からサーチライトで照らす所も多いですね。観光的には必要なのでしょうが、節電のためのも、植物やそこに住む生き物の為にも、そして夜の風景写真を撮りたいと思っている人の為にも、22時以降は消灯するなどの対策をとって頂きたいものです。
2017年の4月に桜と星空を撮るべく、福島撮影の車中泊旅を敢行しました。おおよそどこに行っても強烈なライトアップがあり、編集もつらいものがありました。

①の写真

一番よくあったタイプのライトアップです。どう減光しても前景が飛ぶので、星を出すには限界があります。

②の写真

強烈なライトと赤いぼんぼりのダブルパンチの場所でした。 撮って出しの画像は桜がショッキングピンクで、周りのカメラマンもため息をつくほどでした。タイマーで消えるのでは・・・との期待も無駄であることを確認した一夜になりました。

③の写真

②の桜の木と道路を挟んで向かい側の丘の上の桜です。かなり離れているにも関わらず、しっかり照らされていました。天の川もはっきり見える暗い空の場所なのに、残念で仕方ありません。

④の写真

これは近くにあった道の駅の照明でややライトアップしていた桜の林です。たまたま立ち寄って気づいた場所なので、カメラマンは一人もおらずラッキーでした。

⑤の写真

街灯に囲まれるように立つ木もありました。手入れをされた桜の木は、人の生活と共にあるので仕方ありません。程よく離れた場所からの灯りは夜景にとってトッピングのようなもので、空の色が変わったり、前景を出してくれたりと結構好きです。

最後に、程よく離れた民家のライトでいい具合にアップされているため、かなり大勢のカメラマンが居たにもかかわらず誰も照明を点けずに、紳士的に撮影に臨めた場所です。

⑥の写真

あれ? 街灯やサーチライトの写真だけ? セルフライトアップの風景は? って思いました?

そうなのです、大勢のセルフライトアップは結局当たり方がまちまちのまだらになって、編集でどうこう出来るものでは無くなるんです。

みなさんいったいどんな写真を撮っているのやら…。4時間近くかけて行って、悲しい思い出だけが残ったこともあります。

どうしたものでしょうね。もっと地方の人がいない場所まで行けばいいのでしょうか?

今年も間もなく悩ましい桜の季節がやってきます。

プロフィール
豊田 紀子(とよた のりこ)
星景写真協会 準会員
東京都板橋区在住