2024年12月号「弾丸往復4万km超4万枚余の軌跡」

皆さんこんにちは、会友の酒井と申します。私の星空とカメラとの馴れ初めからこれまでについて語ってみたいと思います、よろしくお願いいたします。

星空への憧れからカメラ購入

少年時代は、藤井旭さんのカラーアルバム「星空の四季」を親戚から誕生日プレゼントで頂き心を打たれ、それがきっかけで星ナビの前身「スカイウオッチャー」誌を愛読。

父親から借りたファイルム一眼レフにワイヤーレリーズをつけて冬のオリオン座を撮影したのが最初で最後。名古屋市暮らしで夜の遠出までは言い出せず、そのまま星空に親しむことなく淡い憧れを胸に、気づけばあっというまに35年の時が過ぎました。

ところが、2016年50歳の時、職場近くの地下街で開催された「天の光・地の灯」星景写真展の巡回展示に偶然出会い、素晴らしい写真の数々に脳髄を撃ち抜かれ、会場においてあった星景写真協会の「星の風景」撮影法のパンフレットを持ち帰り、デジタルカメラ(APS-C&キットレンズの意味も分からず)格安の中古機をネットにて速攻で購入、ここから人生が変わった・笑~私のずぶずぶ撮影史~が、始まりました。1-1パンフ表紙1-2巡回展案内

失敗に次ぐ失敗からすこしずつできる~へ

最初はカメラの操作に慣れず、しかも暗いところをどうしたら撮れるかもわからず、でもご近所の山で木々越しに北斗七星がピンぼけで「モヤ~っ」と撮れ、アドレナリン全開、カメラ前でガッツポーズで有頂天に。しかし、その後は、お天気やらお月様に阻まれたり、満天に星の見える空にたどりついてもうまく撮れず~を繰り返し、これではだめだと、「夜景星空の撮り方」を購入。どこに行けばいい、いついけばいい、+カメラの扱いを独習しつつ、夜な夜な外出する日々が始まりました。それこそ、ISOやf値の意味、焦点距離による画角の広さの違い、ピントの合わせ方なども、体で覚える感じで、作品とは呼べない写真を量産していく日々でした。でも、このころは撮影後にモニターに出る映像に胸ときめかせ、平日の夜であろうが、疲れていようが、深夜の街並み工場夜景や星光浴を満喫しては撮る、とにかく下手でもなんでも撮るのが楽しくて仕方がなかった記憶です。2-1北斗七星初期2-2オリオン初期

訪れた転機NikonD750 D780との出会い

その後、思い切ってフルサイズカメラへの移行、タムロンf2.8の標準ズームレンズやNikonマニュアルオールドレンズの明るい単焦点に手を出し、モニターに出される絵の美しさに驚嘆し、とにかく星が撮れる楽しさがアップした時期をむかえました。やるだけどんどん楽しくなっていく~そんな手ごたえでした。

並行してInstagramが空前のブーム入りの時期、なんとなくアカウントを作成し、せっかくなのでと夜景を投稿するうちに、相互フォローでのお友達が増え、ある時仲良しメンバーとの撮影行事の中で、星空のコミュニティアカウントを作ろう!と話しが盛り上がり、星空HUB「@star_hunter_jp」を創設、5年で全国5万人余の星空ファンの皆様とのつながりが生まれ、同時に日々のセレクト作業から見る目も自然と養われたのか、経験と知識と機材と技術がうまくかみ合って~撮れる幅がひろがった時期でもありました。また、Instagramでのご縁で、Facebook星景写真部をご紹介いただき入部、あわせて日本星景写真協会へも会友として参加、かつて見た写真展に名を連ねていた皆さんをネット上で拝見交流できるようになり、まるで夢見心地でした。このころセンサー世代が当時最新のD780と、14-24mmf2.8や 20mmf1.4など広角の大口径レンズを入手、ポータブル赤道儀にも慣れて、撮れる雰囲気がさらに変わった時期でもありました。好みは真っ暗なところより街明かりのある人の暮らしと星空の共存だったり、雲があったり強い照明や明るい前景も好きだったり、季節感も盛り込みたいとか、見た目で感じた雰囲気をどれだけ再現できるかを試したい。風景成分多めで星割合が少なめとか、同時にめんどうくさがりで、画角は色々変えて撮りたくて、いつもほぼ1枚撮り、それが自然と自分の方向性・らしさになったのかなあ、と、ちょっぴり思えるようになりました。3-1みんなで合宿天の川3-2四季桜オリオン3-3ハートにと翔んだ蛍と天の川

写真展の開催~あたたかい仲間に囲まれて

前回コラム寄稿させてもらった2022年2月開催のFacebook星景写真部の展示会では、憧れに思っていた皆さんと、自分の作品も並んで~という「夢のような一大事」が現実になった時でした。多くの皆さんにsnsの画面の中ではなくリアルなプリントで作品を見ていただくこと、会場で星空観察や撮影や印刷のことをお話できることを、とても嬉しく感じるようになり、また、それまでスマホでのsns向け作品編集しかしたことがなかったので印刷向けにパソコンでのPhotoshopやLightroomとの本格的な戦いが始まりました。

ここ2年半は勤務の関係で遠出は我慢せざるを得ず、撮影チャンスも極めて限定的ですが、プリントが楽しく、過去作品を紙に出すことで心のバランスを保っている感覚。

想い通りに印刷できないもどかしさを、教えてくださる大先輩や仲間にも恵まれ、乗り越えることができ、雑誌応募へ背中を押してもらえ~昨年には、憧れだった「星ナビ」への作品掲載が実現。その後「猫のいる星空café」メンバーの皆さんとのグループ写真展の開催、ポートレートや風景写真の皆様と複数メンバーでの異なる分野のコラボ開催での展示会への作品出展、お知り合いの皆さんの展示会の観覧など、作品を介した交流で成長の機会を頂き貴重な経験をたくさんたくさん積ませてもらっています。

カメラを握って夜な夜な弾丸往復約5年約4万キロ超の移動、4万レリーズ余の撮影枚数を知らない間に積み重ねて、ロケハンでは自然にふれあいそれまでに見ることの無かった美しい世界に足を踏み入れ、新しい自分の居場所ができたこと、すべてはこれまで出会った皆様と、いつも物言わず待っていてくれる星空のおかげと、本当に感謝の想いでいっぱいです。ありがとうございます。4-1梅に北斗の水遣り4-2水田と天の川4-3オリオンへの階段

そしてこれから

今は、ミラーレスNikon z6ⅱとz7を担いで、わずかに出かけられる貴重な機会に肉眼レフにも星空を焼き付けることが最高の自分へのご褒美・笑。これからも星を眺め、そして撮影し、機会あれば皆様との交流を続けたいと思っています。

最後に宣伝で恐縮~今月の中旬には名古屋の市民ギャラリー栄で、東海地方の星撮り仲間8人による星空写真展「刻の宙(ときのそら)」を開催する予定です。ぜひ会場へお越しください。また、会場で私をみかけたら、「コラム読みました」とお気軽にお声がけください。こんな私ですが、引き続きよろしくお願いいたします。

展示会「刻の宙」告知

チーム東海 星空写真展「刻の宙(ときのそら)」
会期:2024年12月10日(火)~15日(日)
時間:9:30~19:00(最終日は17:00迄)
会場:名古屋市中区栄四丁目1-8栄サンシティービル8階 
名古屋市民ギャラリー栄 第10展示室

天文雑誌の「天文ガイド」や「星ナビ」への掲載経験者を含む、実力派によるA0判はじめ迫力ある大判作品と大型デイスプレイにてスライドショーやタイムラプスも放映。
四季折々山河風水花と星空を8人それぞれの想いでとらえて刻んだ時々の宇宙「刻の宙(ときのそら)」へ、是非ご来場ください。

酒井雄一(さかいゆういち)日本星景写真協会会友
https://www.instagram.com/y.sakai.u1/
Instagram @star_hunter_jp モデレーター
https://www.facebook.com/yuichi.sakai.568
Facebook星景写真部 モデレーター

プロフィール