2022年3月号「展示会の準備について」 ー後編ー

展示会準備といよいよ当日含めた後編です。

8.展示物と会場備品の準備をする

(1)作品のプリントおよびサイズ

壁の面積から逆算して23枚のエントリー作品を、余裕をもって掲示することと、費用想定からA2の作品パネルとA4の解説パネルを作品脇に掲示することとしました。

プリントとポリパネル貼りは、仕上がり色不満が少しでも軽減できるよう、カラーマッチング済みプリントと、外注テストプリントの色合いの違い状況を参加者さんに共有した上で、外注対応としました。解説パネルは写真紙に個人プリンターで印刷したものを「のりパネ」という商品名の接着剤つきポリパネルに貼る作業を本来なら参加者さんと協働で実施したかったのですが感染対策で事前集合回数を増やさないため事務局個人で対応しました。

(2)作品の並べ方

下見でここがいいと決めた展示室を2室借り上げていることと、エントリー作品を1枚撮り(か、それに準じた多重露光や比較明合成作品)と、いわゆる新星景写真(赤道儀等を利用して星の画像を加算平均合成によるノイズ軽減処理に、別撮影の地上風景とある再現時間にあわあせて編集を行った作品)がちょうど半々枚数であったことから、2展示室を、1枚撮りの部屋、新星景の部屋と分離して展示することとしました。

また、観覧順序は、撮影対象の風景や星座の特徴が類似のモノが連続しないよう、色合いや作風も類似のものが連続しないよう、グループで議論をしながら並べ方を決定しました。

(3)作品紹介パネル

応募段階で作品に関する情報を貰っていたので、作品紹介コメント、撮影データー諸元、撮影者の自己紹介文と個人ページへのURLジャンプ用QRコードを配置して作品横に掲示することしました。コロナ影響もありすべての撮影者が来場して来訪者解説ができるわけではなかったので、各撮影者さんの想いを観覧者さんに伝える良いツールとなったと思います。また来場者の皆様からも解説パネルの記載にはご興味をもっていただき、しっかり、解説と交互に一枚ずつの作品をくいいるように観覧いただき、お気に入りの作品があるとスマートフォンをQRコードに向ける方もあり、一定効果があったなという手ごたえでした。

9.来場者の皆様向けの準備

(1)感染症対策受付とアンケート

入口で体温測定と手指のアルコール消毒が実施できるよう薬液ボトルも準備、アンケート用紙を手渡し、個人情報に係る部分の記載は必須として、万一観覧車や在廊スタッフに後日感染事実が判明した場合の連絡情報を頂戴しつつ、会場内の一般的な感染対策についての注意喚起については、受付に設置したパーテーションに「注意事項」の貼り紙を配置して実施しました。アンケートクリップボード、筆記用具はおひとり毎にアルコールティッシュにて洗浄して次の方に使っていただく工夫をしました。

(2)「ご自由にお持ち帰り下さい」コーナー

また、広報チラシや準備にあたったスタッフの星をデザインした名刺等と差し入れで頂戴した茶菓類を「ご来場記念、ご自由に持ち帰りください」との掲示とともに受付に配置しました。会場内飲食禁止で差し入れの行き場として、好評でした。

10.会場設営~会場撤収

(1)あると便利な道具

会場では脚立や台車を借りることができ、モニターパソコンの搬入や備え付けの額装吊り下げの金属ワイヤーを取り外す手間も、展示参加者さんの事前エントリーで、お手伝いの手がたくさんある状態で取り掛かれたため円滑に作業がすすみました。

壁面の貼る位置は、地上高145センチ(日本人平均身長の目の高さらしいです)に写真パネルと解説パネルの中心が来るよう、水平を壁紙に照射できるLED水準投光器により、前述の中心位置に黒縫い糸を養生テープで固定した状態で、各作品の展示位置を測りだして進めました。机椅子も受付と来訪者休憩用に配置しました。巻き尺(コンベックス)が一つしかなかったので、せっかくのお手伝い人数が効率よく作業できなかったのは反省点でした。その他ハサミやテープも複数あったほうが良いと感じました。

(2)文化財であるゆえ壁の保全のための工夫

壁に強粘着のテープ類やピンなど穴の空くものが使えず、弱粘性の養生テープを下貼りしてポリパネル貼り付けの作品を両面のスポンジ付きポスター貼付用シールで固定する方法をとりました。粘性が不足し、展示期間中に壁から脱落する作品があいつぎ発生し、何度も貼りなおす手間が数点発生したことが少し残念でした。

養生テープを大きく使うことである程度は予防できそうですが、同一会場を利用する場合は、今後の課題です。

ダウンライトもあらかじめ設置されており、脚立にて手が届く位置にあり、照射方向を手作業で微調整して作品にきちんと灯りが届く状況を作ることができました。

(3)映像装置

モニターとパソコンを出展者さんのご自宅から持ち込み展示いたしました。電源は会場で、確保できました。映像素材はタイムラプスと、固定映像のスライドショーを事前に参加者グループでの募集により集めたものを準備グループの編集作業技術に長けた方にお願いをしてループ放映、クリック選択放映で対応できるよう準備いただき、当日会場でもその美しい映像展開に来場者さんもしばし足を止めて観覧いただきました。

11.来場者対応

(1)受付在廊者による解説サービス

受付は感染対策のため手厚く行い、会場内は来場してもらった出品者さんに在廊していただき作品解説もご興味をもっていただけた方に声掛けの上丁寧にお話しをする形で、対応しました。映像もタイムラプス作品、固定画像紹介のスライドショーを連続上映しつづけ熱心に観覧される方が多く、全体として、するするっと眺めて帰ってしまう~というかたはほとんどありませんでした。

(2)ギャラリートーク

ギャラリートークについては、初日の予定時間に、在廊者による作品紹介をする短いトークを行い、約30分で二部屋それぞれ15分程度ずつ時間配分して行うことができました。

(3)映像放映

今回の特徴としては、来場者1名あたりの在廊時間が長く、「1点1点をしっかり観覧いただく、在廊者と会話して作品への理解を深めてお帰りいただく」ということができました。事前告知でSNSを介したお知り合いとのリアルな対面による感動や、それまでは夜に顔がわからに場所でしか遭遇していなかったのが、ようやくお声だけでなくお顔も判別つくという出会いと、科学館や図書館などでご興味をもっていただいての来場者さんと出品者さんの対話交流による星空への興味関心の拡大とあわせて、知人やご家族ご親戚なども多数来場されての談笑と、とてもアットホームで盛況な展示会となりました。

短い展示期間、コロナ影響での予定された方の来訪不可との多数のご連絡など含め、厳しい環境下にあっても、3日間で200名余の来場者と、各日10名を超える出品者ボランティアの皆様による設営、受付、在廊対応、撤去お手伝いを得て終始盛況であったことで、準備の労も報われたなと感じました。

12.撤収作業

撤収作業も事前にエントリーいただきました出展者さんの協力で大変迅速に行うことができました。設営状況を見ているお手伝いの方が複数居たため原状回復が貸し出し条件の会場でとても助かりました。

パネルの両面テープと養生テープ剥し、額装吊り下げワイヤーの復旧、パネルの持ち帰り、持ち込み備品類の分類と積み出し、各種差し入れの茶菓類の分配を参加者一同で行い、記念撮影をしてから散会としました。打ち上げ会ができなかったことが心残りですが感染対策上やむなしと感じております。

13.会計報告、行事完了報告、思い出づくり

開催後、後援名義先には会計報告と開催結果報告を、チラシ配架先へは開催結果報告と御礼を、参加者さんには、全員の展示作品の画像をスライドショーにしたデーターを(募集時にWEB公開前提ではなかったので参加者さん範囲内限定で)配布して、皆様の想い出作りの一助とさせてもらいました。

14.最後に

個人的には、SNSでしかこれまで作品を発表する機会がほとんどなかったため、大きなサイズでプリント掲出されることにより、作品の撮影段階からの様々の工夫が必要であることを痛感し、同時にプリントでの公開による楽しさを知り新たな撮影への意欲も増したことから、これを読んでおられる先輩諸氏にも初心の皆様にも、チャンスがあれば展示会への出品経験、あるいは展示会開催の準備や運営作業に携わる経験を積んでいただけたら、「さらに楽しみの世界が広がる」のではと思います。

最後に、終始参加メンバーとご来場者さまに恵まれて、楽しくかつ充実した時間をすごせたことに、とても感謝しています。御礼の言葉で締めくくりたいと思います。

以上、今後の展示会の参考になれば幸いです。2号にわたりお読みいただき誠にありがとうございました。

著者 酒井 雄一(さかい ゆういち) 名古屋市在住
所属 Facebook星景写真部 モデレーター
URL https://www.instagram.com/y.sakai.u1/