ーーー動機
星景写真×アクションスポーツ(Astro × Action)写真のことを「エクストリーム星景写真」と私はそう呼んでいる。
なぜアクションスポーツかというと私もプレーヤーの1人というのもあり、あまり認知されていないアクションスポーツの世界をより多くの人に知ってもらいたいと言う思いがずっとあったからだ。
もちろんフリースキーやアグレッシブインラインスケートなども写真や動画はあるが仲間内で楽しんで終わりと言うものが多いように思う。
一般の方に目に止めてもらうには一瞬でその世界に引き込むインパクトが必要だと思う。
なので星景写真の中にアクションスポーツを融合させればインパクトがあり一般の方にも見てもらえのではないかと考えていた。
ここでコラムを書かせてもらっている時点で見ていただいている幅は広がっているのではないかと思う。
初めて撮影した星空スキー写真(志賀高原にて)
ーー撮影方法
撮影方法は長時間露光+ストロボというシンプルな撮影方法である。
星空と人物を撮影する時に人にライトを当てるがそれをストロボにしただけである。
よく質問されるのがなぜ動いているものが星と一緒に撮れるのか?である。
これはストロボの閃光スピードが関係している。
真っ暗な中人が歩いていてライトなどでその人を照らしたとする。その時間が10秒だと10秒見えていることになる。
その間シャッターを開けているとその人は10秒間分ブレて写る。
1秒なら1秒間のブレになる。
当てる光の時間を少なくすればするほど人は止まって見えるようになる。
ではもしその光が1/8000秒間ならどうなるか。人は完全に止まって見えるのである。
昼間1/8000秒でシャッターを切ったのと同じである。
この閃光スピードを実現できるのがストロボということである。
LEDライトを1/8000秒で入り切りできればそれでも代用できるが超人である(笑)
1/8000は極端だが1/2000ぐらいでも動きは止まる。
この閃光スピードを使用して星撮影用の長時間露光中に一回だけアスリートに光を当てる。
これでエクストリーム星景写真は撮影できる。
ただ、一番の問題はそんな真っ暗な中滑ったり飛んだりしてくれるアスリートが居るかどうかである。
私の場合はありがたいことに快く協力してくれる仲間がいたので実現できた。
そして彼らには彼らなりのこだわりがあるので真っ暗なのにゴーグルは外さないし、バックカントリーでの撮影ではザックは担ぐ(笑)
下の写真はゴーグルもザックも装着した状態で飛んでいる。
また、カメラマンもカメラ機材を担いで最低限同じ斜面を降る技術は必要となる。
獅子×竜(獅子座×吉田竜弥)
2灯ライディング、ストロボ発光後ソフトフィルター使用
ーー撮影で気をつけること
星景写真にストロボを使うということには賛否両論があると思うが、私は使い分けをしている。
星空がメインなのかサブなのかそれだけである。
エクストリーム星景写真の場合は星空はサブなのでメインのアスリートにストロボを当てる。
星景写真は星空がメインなのでストロボや光は使わない。
風景も写したい時は月が出ている時を狙うようにしている。
桜と星空も撮っているがこれは桜がメインなので桜に光を当てている。
また、ストロボやライトを使用する時は場所にもかなり気を使っている。
私は天体撮影もしているので周りを光らせるという行為にはかなり抵抗がある。
なので確実に誰もいない場所に行ったり誰も撮影していないことを確認してから撮影するようにしている。
ーーー撮影場所
撮影場所は星空スキーの場合雪山に登るが昼間だとあまり絵にならないような簡単にアクセスできる場所での撮影が多い。
スキー場は圧雪の整備が入るので基本撮影できない。
スキー場からさらに登り上げた場所である。そこまで行くと基本誰も撮影していないので気兼ねなくストロボを使用できる。
スキー場に許可を得て撮影させてもらったこともある。
もちろん、夜の雪山ということで安全にはかなり気を付けている。
唯一の合成写真(鹿島槍スキー場の駐車場横)
ーーースキー以外の撮影
エクストリーム星景写真は他のスポーツも撮影している。
と言ってもチャンスが少ないので枚数は少ない。
下の写真はBMXの宇野陽介さんと沖縄まで撮影に行った時撮影できた一枚である。
このために行ったわけではないが、たまたま最高の星空に出会えたので撮影した。
何度も言うがこの撮影は真っ暗な中乗ってもらっているのでこの一枚でもかなり苦労する。
もちろん事前に打ち合わせをしてシャッタータイミングの場所決めているが手を離しているタイミングは勘になる。
特にこの写真を撮影した離島はどこに人が居るかも見えないぐらい真っ暗でシャッタータイミングが難しかった。
編集なしの撮って出し
ーーー今後
今後は色々な方とこのエクストリーム星景写真を撮影し、色々なジャンルとコラボレーションしていきたい。
撮影のアイデアもすぐに出てくるわけではないので難しいところはあるが、続けていくことが大事だと思っている。
今壮大なスケールのアイデアがあるのでそれを実現すべく色々と試行錯誤していこうと思う。
そしてエクストリーム星景写真を通してアクションスポーツ界と星景写真界を盛り上げられたら嬉しい。
著者:西條聡(さいじょうさとし)
石川県白山市在住 所属(金沢星の会、ICELANTIC Skis JAPANアーティスト)
その他、バイオグラフィー、HP・ブログなどのURL
HP:www.satoshisaijo.com
- スキー雑誌「Ski Journal」2017年9月号に星空スキーで巻頭掲載。
- スキー雑誌「FREESKiiNG」2018年号JAPANESE SCENE に掲載。
- 天文雑誌「星ナビ」2018年4月号に表紙写真採用、星空スキー特集掲載。
- フランスの「FISE UP MAG」の日本特集でスキー写真を19P掲載。同紙のインラインスケーター安床武士選手の特集にも写真多数掲載。
- 山と渓谷社「Skier 2019」の白馬特集で星空スキー写真を見開き掲載。
- スキー雑誌「FREESKiiNG」2019年号DVDジャケット写真に採用。
- 世界最大級のフォトコンテストRed Bull IllumeのENERGYカテゴリセミファイナリスト。