2020年6月号「星景写真と私」

私の現在の活動の中心は天文の普及活動です。その中でわかりやすく、興味をひきやすい素材として天体写真や星景写真を使っています。以下に、活動の一端を御紹介します。

多治見市地球村天文台運営

1993年多治見市の野外活動センタとして地球村が作られ、我々地元の同好会の働きかけで天文台が併設された。以来、現在まで27年間、我々(地球村星倶楽部)が委託を受け、月2~3回の観望会と日・月食、流星群の観測会など年間三十数回の活動を行っている。

「地球村天文台」周囲が住宅地に囲まれているので空が明るいのが残念

市内公民館、子供会、学校等での観望会

個人の望遠鏡と会所有の4mエアドーム+全天投影改造ホームスターエクストラによるプラネタリウムで年間10回程度の出前観望会を実施しており、並行して星景写真を主体とした星空写真展を開催して、好評を得ている。

「移動式プラネタリウム」

「星空写真展模様」

多治見の自然展

5年に一度、多治見市で自然保護に取り組むサークルなどが一堂に会して、気象・昆虫・魚・鳥・植物・星などについて展示を行うもの。星では5年間の夜空のできごとについて展示を行っている。

「多治見の自然展2016」この年に完成した「タイルミュージアム」の写真が冊子表紙に採用

環境フェア

市内で環境保護に取り組む学校、市民サークル、企業などが、毎年環境保護の取り組みについて展示するイベントで、当会も写真を使って昔の夜空との比較、空の暗いところとの比較などの展示で、光害防止に向けたアピールをしている。

主だった活動としては以上のようなところで、これらの活動の合間を見て天体写真や星景写真を楽しんできました。

転機が来たのは2013年。名古屋で開催されたASPJの巡回展を見て、こんな写真が撮りたいと会友に加えていただき、自分なりに星景写真に取り組み始めました。そして2016年「天の光、地の灯り」の岐阜写真展に写真を出させていただくことになり、漫然と撮る写真から「作品を目指す」といった姿勢に改めて気づかされることとなりました。

意識して撮影を続けるうち、天体写真や記録写真中心に撮っていた私に、決定的に不足しているのが、風景としての構図の力であることに気づき、写真教室や星景写真の会などに入会し現在に至っています。

自分としていまだにできていないのは、ついつい星や星座に引っ張られ、地上風景がおろそかになること。理想としては風景も星空も大切にして、相互に引き立て合うような作品ができたらと模索を続ける毎日です。

以下に、これまで撮影してきたなかから数点を紹介します。

「星空に向かう」「天の光・地の灯り」岐阜写真展出展

はじめて作品を意識して撮り始めた初期のもので、まだバックの星が弱い。その後何度かチャレンジしているがうまくいっていない。

「花月夜の学び舎」多治見市市民展出展

半月の光を利用して、バックの廃校と桜のバランスも取れたかと思う。空はまずまず暗い場所なので、比較明に頼らず、長時間露光の一枚撮りで再チャレンジしたい。

「南十字輝く並木」

ニュージーランドへ観光ツアーで行った折にワナカで撮影。ここはご存知の通りどこでも銀河がくっきりと写る。右端に赤い低緯度オーロラが写ったラッキーな一枚。

「未知との遭遇」2020年写真の日 写真コンテスト応募

題名通り、映画のワンシーンへのオマージュでウイットが売りの一枚。

「星神おわす所」星ナビ2月号掲載

事前準備に時間をかけて自分のイメージ通りに撮れた一枚。題名もこれしかないと思っているが、石碑と妙見菩薩の関連の解説がないと一般の方には理解できないかもしれない。

いまは手当たり次第によさそうなところへ出かけて撮っている状況ですが、今後は、なにか自分なりの「テーマを持って撮る」ことも目指したいと思っています。

著者:井戸 英夫(いど ひでお)
岐阜県多治見市在住
所属:地球村星倶楽部代表
日本星景写真協会準会員
キャノンフォトクラブNight東海会員