2023年3月号「星景写真のはじまり」

みなさま、初めまして。石川県金沢市在住の岩瀬と申します。日本星景写真協会のメンバではありませんが、ひょんなことからこのコラムを執筆させてもらうことになりました。よろしくお願いいたします。

さて、子供のころより星に興味を持ち、星を眺めて来ましたが、「星景写真」という言葉を強く意識し始めたのは、今から約4年前にくらいになるでしょうか、横浜への「転勤」がきっかけになると思っています。それまでは、望遠鏡を使っての銀河や星雲、惑星撮影を主にやっており、その傍らで、地上を入れた星空を撮影したり、それをタイムラプス化することはありましたが、どちらかと言うとおまけ感が否めません。地上のターゲットを探したり、景色に主眼を置いた構図を考えたりすることがなく、見える範囲での撮影になっていたからでしょう。

転勤が決まり弱ったなと。星ライフはどうしょうかと。車を持ってはいけないし、マンションの階上からの機材の上げ下も想像できないし、都会は明るいし、と考え巡るうちに、ここは、都市星景しかないな、と思い立ちました。そうすると先ず考えなくてはいけないのは、広角のイイレンズが欲しい！とレンズの物色が始まりました。Ｆ値が明るくて、周辺の星の形が崩れなくて、ズームで汎用的で、星がボケるフィルターも付けれて。星の神レンズと言う言葉もこの時初めて知りました。悩んだ末、Tamron SP 15-30mm F2.8 G2 に落ち着きました。ちなみに、この選ぶまでに思い巡らせる過程も地味に好きです。

最初は、近場のみなとみらい周辺で、ビルや船や海を被写体にして撮影していました。さすがに1枚撮りでは僅かにしか写りませんので、比較明合成で星の軌跡にすることで満足いく写真となりました。この頃、Facebookのグループ「星景写真部」で主に情報収集を行っていましたが、銀座で写真展＆オフ会があり、知人(私が星景写真の隊長と仰ぐ方です(前のコラム執筆者))に誘われ参加しました。今思えば、この場が、とても刺激となり、今後の星景写真の活動へ背中を押してくれた一因となっていたと感じます。

暗い場所が恋しくなりました。天の川が見たい！たくさんの星が見たい！そこで目を付けたのが神奈川県の最南端である城ヶ島です。ここなら南側は海なので暗くて星がたくさん見えるはず。横浜から京急線で三崎口へ、バスで城ヶ島までと公共交通機関で移動しました。有名なマグロ丼を戴いてから海岸沿いで一夜を過ごしました。

ある時、ふと気付きました。レンタカー借りれば、もっと遠くへ行けるじゃないかと。気付くのが遅すぎました。機動力を得た私は行動範囲がグッと上がりました。東は千葉県房総半島から海岸線へ、西は富士山周辺および伊豆半島まで遠出するようになりました。富士山はさすがに天下一品ですね。虜になり、何度に通うようになっていました。

転勤解除になり帰省。石川に戻ってきてからは、主に能登半島で星景を撮影しています。遺跡や名所などたくさんありますし、更に暗さがピカイチです。そのため、ロケハンすれば、まだまだ絵になりそうなところはたくさんあると思っています。

といったところが私の星景写真のはじまりから現在までとなります。この後は、撮影した写真をいくつか紹介させていただいて締めさせていただきます。

①馬の背同門（城ヶ島）
神奈川県三浦半島の最南端城ヶ島。馬の背同門は島中央南側にあり、岩石に穴が開いていることで有名である。南側半分は暗く天の川も見えた。ここで初めてカノープルを見た（石川では見るのは難しい）。